岡田斗司夫さん監訳の『マンガ学』が名著過ぎた
先日読了した岡田斗司夫さん監訳の『マンガ学―マンガによるマンガのためのマンガ理論』。
原著である『Understanding Comics』の初版は1993年と、決して新しい本では無いのですが、以前から知人に“マンガ好きなら絶対読むべき”とオススメされていた本です。
内容をざっくり言うと、美術でも文学でもない、マンガならではの表現とは何なのかをアメコミ作家がマンガで解説したもの。
同時代の「マンガによるマンガ論」だと、日本では『サルでも描けるまんが教室』(1989年~)が挙げられますが、ギャグ漫画をベースにした『サルまん』と比べると、こちらの『マンガ学』は至極真面目なトーンで進みます。(「堅くて読みにくい」という意味では無いです)
印象に残った内容を抜粋すると下記のような感じ。
- マンガは「連続的芸術」(エジプトの壁画も広義ではマンガと呼べる)
- 「記号(≒イメージ)」のデフォルメが、マンガへの感情移入の度合を強くする
- 「コマ」が時間や空間の表現の幅を無数に広げる
- あらゆる視覚的メディアは「具象性・意味性・抽象性」の3点のバランスで大まかにその特性を分類出来る
(まだまだ魅力に感じたり新鮮な発見だと感じたところは多々あるのですが、全然上手く伝えられないふがいなさ。。つたない表現で大変恐縮ですが、読めば感動間違いなしの名著だと思っています!)
また、日本の「マンガ」が欧米と比べていかに特異な進化を遂げたかを俯瞰的に描いているところも、アメコミ作家ならではの切り口だと言えるでしょう。
マンガ論のみならずメディア論にまで発展する本書のうち、下記の言葉も印象的でした。
すべてのコミュニケーションは、我々が気持ちを心から心へ直接伝えられないことの悲しい副産物にすぎない。
考えていること、感じていることの100%が伝わるコミュニケーションは存在せず、「理解力」だけがそれを補完するのだとしたら、数あるメディアそれぞれの文法への理解を深め、コミュニケーションに役立てることは、日々の孤独感を埋め、心を豊かにする近道なのかもしれません。
※ちなみに、原著の『Understanding Comics』というタイトルは、マーシャル・マクルーハンの『Understanding Media』のもじりとのこと。
以上、表現する人も鑑賞する人も、日々誰かとのコミュニケーションを楽しむ人も、マンガを好きな人もそうでない人も、コミュニケーションとそのメディアの在り方をあらためて考えるきっかけに、是非読んでほしい、オススメしたいと思う一冊です。
※現在絶版している本書。私は図書館で借りて読むことが出来たのですが、再販を熱烈に希望します。紙が難しければ電子書籍でも良いので手に入りやすくしてほしいです。
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3月 8, 2018 | No Comments
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